TANAKAの技術

Bonding Lab ボンディングサイクル編

Bonding Lab ボンディングサイクル編

ボンディング動作を中心に、ワイヤがどのように変形し接続されていくのかを動画を使って解説しています。

2006年9月

初回のBonding Labでは、ボンディング動作を中心に説明します。大まかに4つのステージに分けられるボンディングで、ワイヤがどのように変形し接続されていくのかを動画を使って解説しています。

はな先生電子ちゃんDr.山

①ボンディングワイヤとは

はな先生:
電子ちゃん、「ボンディングワイヤ」って知っとっと
電子ちゃん:
私も少しは勉強してきましたので知っていますよ。Fig.1のように金色の線がボンディングワイヤで、半導体に使用されるICチップのアルミ電極とリード電極を接続する線ですよね。テレビでVideo.1のような映像を見たことぐらいはありますよ。
Dr.山:
はな先生!良い機会じゃないですか。電子ちゃんにワイヤボンディングの一連のサイクルを説明してはどうでしょう。それと、電子ちゃんは田中電子工業(株)の佐賀本社に来たばかりで佐賀の方言がわからないので、標準語でお願いしますね。

Fig.1Video.1

はな先生:
それでは説明しよう!ボンディングワイヤを接続する作業を「ワイヤボンディング」と呼ぶんだ。この作業はワイヤボンディンクマシンと呼ばれる専用の装置を用いて行なうんだけど、速い装置や条件では1秒あたり20本程度もボンディングすることが可能なんだ。また、Fig.2のようにワイヤボンディングでは様々な名前の道具や部品が用いられているんだよ。例えば、「キャピラリ」と呼ばれる筒状のボンディングツールは、その中にワイヤを通して使用するんだ。そして、キャピラリを動かすことでワイヤボンディングを行なっているんだよ。

Fig.2

②Ball Bonding(1st Bonding)

電子ちゃん:
はな先生!Fig.3を見るとキャピラリの下から出るワイヤの先端は丸いんですね?
はな先生:
スローモーションのVideo.2を見てごらん。丸い部分は「FAB(Free Air Ball)」と呼ばれるボールで、放電によりワイヤ先端が溶かされ、表面張力で丸くなりそのまま固まるんだよ。ボールを作るときにボール径をキャピラリの穴径(ホール径)よりも大きく作ることで、ワイヤが抜けるのを防止することができるんだ。

Fig.3 Video.2

はな先生:
ボールが形成された後は、キャピラリがIC のパッドへ移動してボールをアルミ電極に接合するんだけど、これを「Ball Bonding」と呼んでいるんだよ。最初に行なわれるボンディングなので一般的には「1st Bonding」とも呼ばれているんだ。
電子ちゃん:
ところで、ボールは溶けた後に固まったんですよね。どのようにして接合できるんですか?
はな先生:
この接合は、キャピラリがボールを押し付ける荷重、キャピラリから発振される超音波、ボンディングステージからの熱、これら3つの要素によってボールとアルミ電極が接合されるんだ。スローモーションのVideo.4ではBall Bonding接合が確認できるよ。

電子ちゃん Video.3 Video.4

③Loopの形成

電子ちゃん:
はな先生!1st Bondingの後は2nd Bondingですね?
はな先生:
電子ちゃん、急ぎすぎだね!スローモーションのVideo.5では、接合したワイヤを横からみると三角形のような形をしているよね。このように両電極間に接合されたワイヤ部分はLoopと呼ばれ、1st Bondingと2nd Bondingの間にはLoopを形成するという重要な作業があるんだよ。Loop形状は、キャピラリの動きとボンディングワイヤの性質で決まってくるんだ。Video.5では、1st Bondingが終わり2nd Bonding地点へ移動する際にボンディングワイヤを連続的に繰り出しつつ、キャピラリの動きでボンディングワイヤにクセをつけている様子が確認できるよ。

Video.5

電子ちゃん:
Loop形状には意味があるんですか?また三角形と決まってるんですか?
はな先生:
もちろん意味はあるよ。ワイヤにくせをつけることでLoopが垂れてICに触れないようにとか、整然と形を作ることで隣同士のループが触れてショートしないようにするという意味があるんだよ。形は三角形だったり台形だったり、その他にもパッケージの種類によって色々な形状が工夫され使われているんだ。
Dr.山:
ふむふむ。さらにはFig.4のように、ワイヤボンディングの次工程にはIC全体に樹脂を流し込んで固める樹脂封止工程があります。ワイヤにくせをつけておきませんと、ループが樹脂に流されて曲がりますので形状は重要なんです。はな先生!ICの製造工程は日を改めて説明お願いしますね!

Fig.4

④Stitch & Tail Bonding(2nd Bonding)

はな先生:
リード電極との接続では、ボールを形成せずにキャピラリでワイヤをつぶして接合するんだ。この接合を「Stitch Bonding」と呼ぶんだけど、2番目に行なわれるBondingなので一般的には「2nd Bonding」とも呼ばれているんだ。接合の仕組みはBall Bondingと同じで、キャピラリからの荷重と超音波、そしてボンディングステージからの熱なんだよ。
電子ちゃん:
スローモーションのVideo.6では2nd Bondingが確認できるんですね。2nd Bondingが終わった直後に、一瞬ですがボンディングワイヤがリード電極と接続したままキャピラリだけが上昇していますけど、失敗なんですか?

Video.6

はな先生:
よく気がついたね!実はFig.5のように2nd BondingではStitch Bondingと同時に「Tail Bonding」も行なっているんだ。Stitch Bondingではワイヤとリード電極との接合がおこなわれており、同時にTail Bondingでは次のボンディングサイクルへ向けての準備、つまりボール形成の準備が行なわれているんだよ。
電子ちゃん:
ボール形成の準備って・・・。まだ終わらないんですね、ボンディングサイクル。

Fig.5

はな先生:
放電によってボールを形成するには、ワイヤがキャピラリの先端からある程度出ていなければならないんだ。このキャピラリから出ている部分をTailと言い、Tailを形成する時の接合がTail Bondingなんだよ。
電子ちゃん:
どのようにTailを作っているんですか・・・?
はな先生:
まずは、ワイヤとリード電極をTail Bondingで一時的に接合するんだ。次にキャピラリだけがTailに必要な長さだけ上昇し、その後一時的に接合した部分を引きちぎるんだよ。Video.3を見るとキャピラリ上部のワイヤクランパが開閉している様子が確認できるよ。このワイヤクランパの開閉による働きによって、キャピラリのみが上昇したりワイヤを引きちぎることを可能にしているんだ。
電子ちゃん:
これでボンディングサイクル終了ですね。Thanks!
Dr.山:
良い説明でした。はな先生これからも頼みますよ!